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東京の山・神奈川の山・関東周辺の山を夫婦で「気ままに山歩き」登山・ハイキング・トレッキングの山行記録です。

高尾・小下沢林道~景信山高尾・小下沢林道~景信山

高尾・小下沢林道~ザリクボ沢~景信山(727m) 
平成29年(2017)3月17日(金)2名

     

木下沢梅林を上から眺める

大下~ザリクボ~景信山~小仏峠~小仏のGPS軌跡(クリックで拡大)

高尾山は標高599mですが周辺では1600種を超える植物が確認されています。まさに高尾山は低山ながらも山野草の宝庫といえます。このように植物の種類が多い理由は植物の分布帯である暖温帯と冷温帯の境目に当たるからです。高尾山で最初に発見された植物は、60種にも及ぶということでもその種類の多さがわかります。今日はその高尾の中でもハナネコノメが多いと言われる裏高尾の小下沢(こげさわ)からザリクボを歩いてから景信山に登ることにしました。小下沢周辺は今回で7~8回目くらい、前回は平成24年4月29日でしたので5年振りです。天候の関係で予定した日の3~4日遅れでの山歩きになります。

木下沢梅林の紅梅

JR高尾駅北口の小仏方面バス乗り場は「平日なのでそんなに多くはないだろう」という予想を裏切り正に長蛇の列です。こんな高尾の人気に「土日曜日だと一体どんな騒ぎになるのだろう」と余計な心配をしてしまいます。バス会社もこんな乗客の動向を察知してか、既にもう一台臨時バスを手配していました。そして満員の乗客を乗せて定刻時間前に出発となります。バスはほとんど全員が登山者か観梅客です。日影バス停で3分の1程度降ります。次の大下(おおしも)バス停で残った乗客の3分の2は降りたようです。大下からはバスが来た道を少し戻ります。中央線のトンネル(ガード)を右に見て直進します。緩やかな坂になって辺りの見晴らしがよくなってきます。中央高速の下をくぐって行くと右手が満開の木下沢梅林でした。梅林の特別解放期間が3月11日から3月26日までということでまだしばらくは楽しめそうです。木下沢梅林は約1,400本もの紅梅・白梅の木がある梅の里です。梅林の中を一面に咲き誇る紅白の梅を眺めながら散策できます。入園は無料、平日も開放し午前10時から午後4時まで開園です。私たちは中へ入らず、駐車場手前の小高い所に登り上から梅園見学しました。なかなか素晴らしい眺めでした。

木下沢梅林の白梅

木下沢梅林を眺めながらそのまま小下沢林道を歩いていきます。花の季節にはまだ早く右側の土手の周辺には何も咲いていません。林道の脇の木の上に猿が一匹、枝にうずくまっていました。花が咲いているわけもなく(猿は花には興味がないと思いますが。「きれいな花だな~」と言っている猿がいたら、それはまさしく人間です!)、木の実があるわけでもなく、新芽が出ているわけでもありません。もしかすると猿は新芽のつぼみを食べていたのかも知れません。所在なさげに枝にうずくまっていました。それとも日向ぼっこをしていたのかな?。

小下沢林道の木の上にくつろぐ猿

小下沢林道の川沿いにはニリンソウが咲くのですが今はその片鱗もありません。右側の土手の方には見た目はスミレなどの草だけで花は何も咲いていません。しかしよくよく見ると小さく白いユリワサビがあちらこちらに咲き始めていました。薄青いヤマルリソウもパラパラと散らばっているところもあります。タチツボスミレも幾つかある程度です。やはりこの土手がスプリングエフェメラルで賑やかになるのは半月先、ひと月先になることでしょう。


小下沢林道沿いの土手に咲くユリワサビ

何も咲いていない小下沢林道はやや退屈です。小下沢にも降りてみました。苔の生えている石を確認しますがハナネコノメは見当たりません。以前この沢に降りてハナネコノメを確認したのは平成22年3月27日でした。その時はこの沢の石や岩の上にハナネコノメがびっしり群生して咲いていました。今回は早いのか遅いの判りませんがほとんど何も咲いていないのです。

ザリクボ(景信山登山口)

ザリクボ(景信山登山口)のこの木の桟橋の左側にもハナネコノメがいっぱい咲いていました。今回はなぜか全く見当たりません。7年間で環境が変わってきたのでしょうか?。

ザリクボ沢に咲くハナネコノメ

ここからはザリクボ沢沿いをしばらく登って行きます。すると沢の中の岩のところどころにハナネコノメが咲いている所がありました。しかしあまりぱっとしない感じです。つぼみが多いのでまだこれからの感じもします。更に少し上に行くとパラパラ咲いている所がありました。一つだけちょうど旬のハナネコノメがありました。

ザリクボ沢沿いのヨゴレネコノメ

更に登って行くと足元にはヨゴレネコノメがところどころに咲き始めています。沢の中にはヤマネコノメが咲いている所もありましたが、これは撮影に失敗しすべてボケていました。


ザリクボ沢の小滝

撮影しながらザリクボ沢を登って行きます。そして登山道がザリクボ沢を離れる地点があります。ここを沢の奥にそのまま進みます。30mほど行くと高さ5~6m位の小滝が出てきます。この滝の周辺は水しぶきで濡れていてハナネコノメの絶好の生息地です。岩肌の苔の生えているところにハナネコノメが咲いていました。赤い葯もきれいに残っていてちょうど見頃のハナネコノメでした。滝の傍らで中年のおじさんが三脚を据えてハナネコノメを撮影していました。そのおじさんがハナネコノメを独占している感じだったので奥のハナネコノメを撮影して帰りました。

ザリクボ沢の岩棚に咲くハナネコノメ

それがこのハナネコノメです。ハナネコノメはこの葯の赤いのに特徴があります。この葯が有ることを「葯者(役者)がそろっている」といいます。これはただの冗談ですが、ハイ(笑い)。時期が過ぎるとこの赤い葯は飛んで無くなります。赤い葯がとんだ白い萼片だけのハナネコノメは寂しいです。

ザリクボ沢の奥に咲くハナネコノメ

ハナネコノメは小さいが登山者に人気のある花です。小さいので目立たず単に歩いているだけでは見落としてしまいます。この花を見るためには沢の水しぶきが掛かりそうな、苔むした岩の上をよく観察してみることです。花の大きさは4mm前後、高さは4~10cm前後です。花びらのように見える萼片が白いので、ネコノメソウの仲間のうちでは最も花らしい花です。ほかの山野草に先駆けて渓流沿いの苔むした岩の上などに花を咲かせます。4裂した萼片は白色でおしべは8本、中央にめしべがあります。おしべの上の部分を葯(やく)と言いますがこの葯が紅色なので華やかな印象を受けます。


ザリクボ沢を離れ山道を登る

今日の目的の一つであるハナネコノメの撮影を終えて、ザリクボ沢を離れて登山道を登って行きます。沢沿いの道は緩やかだったのですが登山道はやや急登です。ほとんど何も咲いていないと思っていた山道にエイザンスミレが一つ咲いていました。ザリクボ沢から標高差100m以上登るとトラバース道が出てきます。登りがほとんどない山腹を巻く道です。ほとんど平ですが緩やかな登り下りも少しあります。その中ほどで突然アクシデントが起こりました。大きな木が登山道の真ん中に生えています。その下が60~70cmくらいの落差があります。木の根っこがむき出しになっています。連れは多分そこを降りたのだと思います。その途端滑ったのか、転んだのか、つまづいたのかは前を歩いていたのでよく分かりません。連れは突然左側の斜面に2mほど転落しました。柔らかい土の斜面で伐採した木枝が堆積した所でした。それ以上は落ちる所ではありません。幸いかすり傷程度で済みました。連れと山歩きをするようになってから3年以上経ちました。今はちょうど山に慣れてきた感じの頃です。見た目には普通の木の根が露出した所なのです。が、きっと油断をして降りたので何かの拍子に滑ったのだと思います。慎重に降りていたらなんでも無い所でした。多分今後は同じような所ではきっと慎重になると思います。

気を取り直してトラバース道を進みます。しばらく進むと分岐点がでてきました。標識がないので左へ下る尾根道はバリエーションルートのようで、尾根に踏み跡が続いていました。右は山頂への尾根道です。急な登りを進むと市街地の風景が見えてきました。標高差50mほど登ると今度は標識が出てきました。今度は直登が景信山、左方向が小仏バス停を示していました。ここから標高差100mほど先に景信山はありました。頂上直下にはトイレも設置されています。頂上には茶店が2つありますが平日のため休業中でした。もしやっていれば山菜天ぷらなど頼もうと思っていました。景信山頂からは八王子や所沢の西部ドーム、都心のビル群や横浜方面も微かながら見えました。ここで30分ほど昼の休憩をします。○ちゃんのワンタンやコーヒーを飲んでから、尾根道を小仏峠目指して下ります。雲が出ていて富士山は全く見えず、丹沢の山は半ば隠れていました。

景信山山頂からの都心の風景(左端は八王子駅前の黒いビル)

小仏峠からは小仏バス停を目指して下ります。道は途中から林道にかわります。そして車止めを過ぎると車道に変わりました。車道を下って行くとヘアピンカーブが下に見えます。そのヘアピンカーブの手前に景信山への標識が設置されていました。

小仏峠から小仏バス停に向かう途中にある標識

景信山への標識から20分ほど歩くと小仏バス停でした。バスの転回場所になっておりきれいなトイレも設置されています。臨時バスが増発され2台のバスが続けて出発します。帰りは途中から乗る人が多くほぼ満員状態で高尾駅に到着しました。

大下~ザリクボ~景信山~小仏峠~小仏のコース断面図

コースタイム 歩行3時間 距離9.4km 累積の登り923m 下り-881m
JR中央線高尾駅北口(バス)10:12発~10:30大下(おおしも)→木下沢梅林→小下沢林道→11:23ザリクボ(景信山登山口)→ザリクボ沢(写真撮影)→11:50小滝12:03→12:35(トラバース道でアクシデント)→13:00小仏バス停分岐→13:20景信山山頂13:50→14:18小仏峠→14:56小仏バス停(バス)15:10発~高尾駅北口。


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